【10月3日 AFP】ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は2日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)に関する「最終」協定案を公表し、EU首脳陣が同案を受け入れない場合、英国は今月31日に合意なき離脱を実行すると警告した。しかしEU側は今のところ、複雑な内容の新協定案について冷ややかな反応を示している。

 ジョンソン氏は、今月17・18日にベルギーの首都ブリュッセルで開かれるEU首脳会議での議題に含めるためには、双方が11日までに主な妥協点をまとめる必要があるとしている。

 ジョンソン氏は、新協定案では北アイルランドに関する「バックストップ(安全策)」条項を削除すると言明。同条項は、ブレグジット実施もEU加盟国であるアイルランドと北アイルランドとの間の国境を引き続き開放することを定めた暫定的な措置で、テリーザ・メイ(Theresa May)前首相がEUとまとめた協定案で最大の争点となっていた。

 ジョンソン氏は、独自の税関制度を一時的に導入することを提案。アイルランド側の懸念を和らげる措置として、物品が国境を越える際には検査でなく「申告」を行い、検査は国境から離れた場所で行う仕組みを提示した。ジョンソン氏の案では、北アイルランドは一時的にEUの規則の順守を続けることになる。

 しかし、ジョンソン氏の案には、新たな仕組みに対して4年間の制限を設ける可能性など、過去にEU側から拒絶された基本条項が複数含まれている。

 ジョンソン氏と電話会談したジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)欧州委員会(European Commission)委員長は、「今後数日の間にさらに取り組む必要のある問題点」があると指摘。

 アイルランドのレオ・バラッカー(Leo Varadkar)首相は、ジョンソン氏の提案は「合意した目標を完全には達成していない」との見解を示しつつも、「さらに詳しく検討する」と約束した。

 欧州議会のブレグジット問題対策グループ(BSG)を率いるヒー・フェルホフスタット(Guy Verhofstadt)議員は、英国の提案は合意締結を真剣に目指したものではなく、合意に至らなかった場合の責任をEU側に押し付ける狙いがあると示唆。「BSGでは、ほぼ全員の当初の評価がまったく肯定的ではなかった」と述べた。(c)AFP/Alice RITCHIE with Joe STENSON in Dublin and Dmitry ZAKS in London