【10月10日 CNS】中国科学院水生生物研究所のヨウスコウカワイルカ館で生まれたコード番号「F9C」と名付けられた雌の長江スナメリは、先月21日で生後100日となった。人工の環境の中で誕生した4頭目のスナメリで、100%人工の環境下で飼育をしている第2世代となり、長江スナメリの飼育保護研究に新たな成果があったことを表している。

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「F9C」の母親「福久(Fu Jiu、フージウ)」は今年11歳になる。2011年に鄱陽湖(Poyang Lake)から同研究所に引き取られた。父親の「淘淘(Tao Tao、タオタオ)」は今年14歳、2005年7月に同研究所ヨウスコウカワイルカ館で誕生し、世界で初めて完全な人工飼育環境で飼育・成長したスナメリだ。

 同研究所の鄭勁松(Zheng Jingsong)副研究員によると、研究者が各種の繁殖補助技術を施すことで、「淘淘」が正常に繁殖できるように導いた。2018年夏「淘淘」と「福久」の交配は成功し、2019年6月11日に「F9C」は誕生した。

「F9C」は現在、母子関係の確立と母乳摂取の重要な節目の時期を乗り越え、身体の発育は正常で豊かな動きを見せている。「F9C」の誕生と健康な成長は、繁殖補助技術によって、完全に人工環境の中で誕生したスナメリでも次世代を繁殖できることを証明しているという。

 研究所は40年以上の努力により、人工環境下のスナメリ飼育の面で、飼料供給施設の設計から一般的疾病の予防と治療、妊娠診断と観測、赤ちゃんスナメリの介護などを含む技術体系を作り上げ、これまで3頭の第1世代のスナメリを育てている。

 長江スナメリは中国特有の希少な淡水鯨類動物だ。揚子江の食物連鎖の頂上に位置する唯一の水生哺乳動物である可能性が極めて高い。2017年の調査では、長江スナメリの生存数は1012頭で、絶滅が危ぶまれている。(c)CNS/JCM/AFPBB News