【10月20日 AFP】パキスタン北西部山岳地帯の村ブーニ(Booni)に住むハジラ・ビビ(Hajra Bibi)さん(35)は、村の女性たちのために、手回しミシンで生理用ナプキンを縫っている。

 極めて保守的なパキスタンの地方の多くでは、生理はいまだタブー視されている。パキスタンの慈善団体の推定では、生理用ナプキンを使っている女性は全体の5分の1にも満たない。女性たちは伝統的に、経血の処理に古い布切れを使っている。

 アフガニスタンとの国境に近い村でビビさんは「危機に対応している」と語った。「ブーニの女性たちは、これまで生理用ナプキンというものを知らなかった」

 パキスタンでは月経に対して負のイメージが強く、妊娠や出産に関する教育も行われていないため、衛生水準が低く、感染症にかかる女性も多い。特に地方では、生理中の女性は不浄と見なされており、その期間にできる活動も制限されている。

 ビビさんはパキスタンのNGO「アガ・カーン農村支援プログラム(Aga Khan Rural Support ProgramAKRSP)」から、綿とプラスチック、布を使用した使い捨て生理用ナプキンの作り方の訓練を受けた。AKRSPは国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)と共同で、女性の健康に対する意識を変えるプログラムを実施しており、訓練はその一環だ。

 ビビさんが仕事を引き受けたのは、夫が障害者で収入がほとんどなく、家族を養う必要があったためだ。生理用ナプキンは1個あたり製作に約20分かかり、20ルピー(約14円)で販売されている。

 地元の人たちは当初、ビビさんの仕事に大騒ぎした。「初めのうちは、なぜこんな仕事をするのかと問いただされ、バカにする人もいた」とビビさんは振り返る。だが今では「村の少女たちは自分の生理について語ることができるようになった」と言う。ビビさんは女性の「基本的欲求を満たすため」に闘っているのだ。