【10月2日 AFP】フランスの破棄院(最上級審の裁判所)は1日、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)元大統領(64)が2012年の大統領選で法定上限を超える資金を使ったとされる不正会計事件で、起訴を妥当とした下級裁判所の判断を不服としたサルコジ氏の申し立てを退けた。これによりサルコジ氏の公判開始が決まった。

 検察によると、サルコジ氏は再選を目指して立候補した2012年の大統領選で、偽のインボイスを使って法定上限の2250万ユーロ(約26億5000万円)のほぼ2倍となる4300万ユーロ(約51億円)近くの費用を支出したとされる。裁判で有罪となれば禁錮1年と3750ユーロ(約44万円)の罰金を科される可能性がある。

 サルコジ氏は、選挙運動に関わったPR会社「ビグマリオン(Bygmalion)」の幹部が行った不正会計に気付いていなかったと主張してきた。この事件ではサルコジ氏の他に13人について正式捜査が開始されている。サルコジ氏の弁護人は破棄院の決定について「残念」だと述べた。

 2012年大統領選で社会党のフランソワ・オランド(Francois Hollande)氏に敗れたサルコジ氏は、汚職疑惑や選挙資金をめぐる不正会計疑惑に相次いでさらされてきたが、サルコジ氏自身はこれらの疑惑を一切否定している。

 サルコジ氏をめぐっては、自らに対する捜査情報を判事から入手しようとしたとして汚職と職権乱用の罪で公判が請求されている。さらに2007年の大統領選を前に、リビアの独裁者、故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐から違法献金を受けたとして訴追された。

 フランスで元大統領が起訴されたのはサルコジ氏が初めてではない。先週死去したジャック・シラク(Jacques Chirac)元大統領は、パリ市長時代の公金横領などの罪で2011年に執行猶予付きの禁錮2年の判決を言い渡されている。(c)AFP/Eleonore DERMY / Benjamin LEGENDRE