【10月2日 AFP】米国の連邦裁判所は1日、ハーバード大学(Harvard University)がアジア系米国人の志願者を差別していると訴えられた民事裁判で、同大が入学者選考で人種を考慮に入れているのは適切だとして原告の主張を退けた。

【関連記事】ハーバード大はアジア系志願者を差別、米司法省が見解

 裁判は保守派の白人活動家エドワード・ブラム(Edward Blum)氏が率いる団体「SFFA(Students for Fair Admissions)」が2014年に起こしたもの。原告側は、ハーバード大は個人の属性を基準に用いることで、黒人、ヒスパニック、白人の志願者を同等の成績のアジア系学生よりも有利に扱っていると主張。成績だけに基づき選考が行われた場合、より多くのアジア系学生に入学が認められるはずだとした。

 ハーバード大はアファーマティブ・アクション(差別是正措置)に基づき数十年前から人種的マイノリティーの入学を後押ししており、その一環で入学者選考における判断基準に志願者の人種を取り入れてきたが、原告側はこれを批判。ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権も原告の主張に支持を表明していた。

 大学側はアジア系学生への差別を否定する一方、個人の属性を含め、学業の優秀さ以外の幅広い選考基準を用いることの正当性を主張。人種は選考過程で考慮される多くの要因の一つにすぎないとしている。また、大学側は昨年10月、3週間にわたり陪審なしで行われた裁判で、アジア系学生の比率は2010年以降大幅に増加していると説明していた。

 この裁判の判決はかねて注目を集めてきた。アリソン・デール・バローズ(Allison Dale Burroughs)判事は、ハーバード大の選考手続きは完璧とは言えないものの、現時点では、同大が多様な学生層を形成するために志願者の人種を考慮に入れるのは適切であるとの判断を示した。

 ブラム氏は控訴する意思を示し、必要であれば最高裁まで争うと表明した。

 同氏は過去、テキサス大学(University of Texas)のアファーマティブ・アクションに対して訴訟を起こしたが、最高裁は2016年にテキサス大の選考基準を支持する判決を出した。(c)AFP