【10月5日 AFP】モハマド・ラフィク(Mohammad Rafiq)さん(19)は、顔に伝統化粧「タナカ」を塗ったロヒンギャ難民の少女2人を見かけると、シャッターチャンスを逃すまいと急いでスマートフォンを取り出した。

 ラフィクさんは軍によるロヒンギャ弾圧を逃れ、2017年8月にミャンマーからバングラデシュに避難した。新米カメラマンのラフィクさんは携帯電話を使って、バングラデシュ南部コックスバザール(Cox’s Bazaar)の広大な難民キャンプに暮らす約100万人のロヒンギャの日常生活を記録している。

「あの写真は、私たちの文化や少女の無邪気さを表現しているので、たちまちお気に入りになった。少女たちは自分たちが危機に直面しているとは思い出したくもないと思う」とラフィクさんはAFPに語った。

 ラフィクさんは、国連(UN)の世界食糧計画(WFP)が実施する「語り部プロジェクト(Storyteller)」のメンバーに選ばれたロヒンギャの若者約30人の一人だ。

 語り部たちは2週間にわたり、光の当て方、露出、アングルなどスマートフォンを使って写真や動画を撮影する技術や文章の書き方を学んだ。語り部たちは直接自分の手でフェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)、インスタグラム(Instagram)に投稿し、その写真に対し世界中からコメントや質問が寄せられる。

「支援を受ける人々に物語を取り戻してもらおうという考えが背景にある」と、WFPの報道官ジェンマ・スノードン(Gemma Snowdon)氏は話す。フェイスブックの語り部プロジェクトのページには3万人を超えるフォロワーがおり、アフリカのチャドやウガンダでの同プロジェクトの様子も紹介している。

 ロヒンギャ難民の投稿者は、難民キャンプでの暮らしの中で生じる感情の起伏をありのまま世界の人と共有したいという共通の目的を持っている。例えばある女性は、難民たちが防水シートの屋根と竹の柱でできた家が強風で飛ばされないよう、どうやってロープで固定したかを動画で紹介した。また別の女性は、ミャンマーに残してきた父親に宛てた胸が張り裂けるような手紙を投稿した。