【10月1日 AFP】陸上男子長距離のモハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)やゲーレン・ラップ(Galen Rupp、米国)ら五輪メダリストを指導した実績を持つアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏が、ドーピングへの関与が認められたことで4年間の資格停止処分を科された。

 米国反ドーピング機関(USADA)は、4年にわたる調査と長年続けてきた水面下での闘いの末に、61歳の陸上コーチであるサラザール氏への処分を決定した。また、同氏の教え子を治療したテキサス州の内分泌学者ジェフリー・ブラウン(Jeffrey Brown)博士に対しても、4年間の資格停止処分を科した。

 今回の処分に関して、USADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)は声を上げたアスリートを称賛し、「アスリートたちが勇気を持って声を上げたおかげで、これらの違反が発覚し、最終的に真実にたどり着いた」と述べた。

「ナイキ・オレゴン・プロジェクト(Nike Oregon Project)に関与する中で、サラザール氏とブラウン博士は保護されるべきアスリートの健康と幸福よりも勝利を優先した」

 USADAのコメント文では、「禁止されているドーピング行為を画策し、その手助けをした」として、数人の仲裁委員がサラザール氏とブラウン博士への処分を決定したとされている。

 キューバ出身のサラザール氏は、禁止されているテストステロン(testosterone)の売買もしくはこの薬物の取引を画策し、アスリートに許容値を超える量の薬を与えたり、オレゴン・プロジェクトにおいてドーピング・コントロール・プロセスに手を加えたりしていたことが発覚。しかし、一連の疑惑については、これまで一貫して否定している。

 通算4度の五輪金メダル獲得を誇るファラーは、同氏が運営しているナイキ・オレゴン・プロジェクトに2011年から参加していたが、17年に同プロジェクトを離れたのはドーピング疑惑が理由ではないと否定していた。(c)AFP