【10月1日 AFP】南極大陸でここ数日間のうちに広さ1500平方キロメートルを超える巨大氷山が棚氷から分離したが、米国の氷河学者ヘレン・アマンダ・フリッカー(Helen Amanda Fricker)氏はこの現象について、自然のサイクルによって発生したもので気候変動とは関係がないと説明した。

【関連記事】西南極の氷融解と世界の沿岸地域への影響、専門家が解説

 欧州と米国の衛星は、9月24日から25日にかけてアメリー棚氷(Amery Ice Shelf)から氷山「D28」が分離する様子を観測。欧州連合(EU)の地球観測計画「コペルニクス(Copernicus)」は、1582平方キロメートルの範囲に及ぶ分離だったと測定した。

 カリフォルニア大学(University of California)スクリプス海洋研究所(Scripps Institution of Oceanography)の研究者であるフリッカー氏によると、D28は厚さ約210メートルで、重さ3150億トン分の氷を含んでいる。

 同氏は、D28は非常に巨大だが、南極の氷冠から張り出した棚氷が氷山を生成することは自然のサイクルの一環で、「氷棚は常に同じ大きさであり続けようとするため、降雪や氷河との合体で体積が増える一方で、体積を失う必要がある」と説明した。

 また、D28が分裂したのは南極大陸の東側で、気候変動の影響によって急速に温暖化が進む南極の西側やグリーンランドとは状況が異なるという。フリッカー氏は「人々が現象を混同して、これを気候変動だと思わないことが非常に重要だ」と指摘した。

 同氏は2年前に南極でD28の3倍の大きさの氷山が分離してパニックが起きたことに言及し、「非常に微妙な問題。なぜならば、私たちは決して人々に気候変動が起きていないとは考えてほしくないからだ」と付け加えた。(c)AFP