【9月30日 AFP】香港で飲食店チェーンを展開する外食大手の創業者の娘が、民主派デモの参加者らを批判したことを受け、傘下のスターバックス(Starbucks)や吉野家(Yoshinoya)などがデモ隊の新たな標的となっている。

 強硬派のデモ隊と警察機動隊の間で、ここ数週間で最大規模の衝突が発生したこの週末には、香港外食大手の美心食品(Maxim's Caterers)傘下の複数の店舗がスプレーを使った落書き被害を受けた。

 湾仔(Wan Chai)地区のスターバックス店舗には、ボイコットを促す文言や、警察や美心食品を中傷する言葉が落書きされた。

 中国政府は企業各社に対し、デモを公然と非難するよう圧力を強めている。

 美心食品の創業者の娘の伍淑清(アニー・ウー、Annie Wu)氏は今月、スイス・ジュネーブの国連人権理事会(UN Human Rights Council)で演説を行い、香港のデモを非難するとともに、民主派活動家らに対する中国政府の強硬姿勢は支持されてしかるべきだと訴えた。

 これを受けて、同社ボイコットの動きが始まった。著名な民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏もスターバックスに対する不買運動を呼び掛けた。また米シアトル(Seattle)のスターバックス本社に対し、美心食品との提携を打ち切るよう求める請願書に5万人以上が署名した。

 美心食品に対し、30日にコメントを求めたが、回答は得られていない。ただ同社は先に、伍氏は美心食品の社員ではないとして、その発言から距離を置く姿勢を示している。

 スターバックス以外にも、同社傘下の吉野家や元気寿司(Genki Sushi)、さらに中国銀行(Bank of China)の店舗に対し、スプレーの落書きが相次いでいる。(c)AFP