【9月30日 AFP】中国は今週、細かく演出した建国70周年の記念式典を行う予定だ。だが、国を牛耳る中国共産党の権力について、本土とは全く異なる見解を持つ香港民主派の抗議行動によって、一糸乱れぬ式典がかすんでしまう可能性が出てきた。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は、10月1日に北京で行う大規模な軍事パレードと祝賀式典の準備を進めている。一方、英国の植民地だった香港では、これまで認められていた特別な自由が崩壊するとの恐れから広がった混乱状態が続いている。

 9月最終週の週末にも抗議デモの参加者と機動隊が衝突し、香港は1997年に中国へ返還されて以来最悪の政情不安に揺れている。

 今夏の香港の抗議デモは、中国本土への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案がきっかけだった。この改正案は撤回が発表されたが、デモ隊は自由選挙の実現や中央政府の介入削減へと要求を変化させている。

「一国二制度」の下、中国政府は表現の自由や無制限のインターネット利用、独立した司法制度など、本土に暮らす中国国民には認められていない一定の自由を、小さな香港に与えてきた。しかし、一国二制度は2047年に期限が切れる。

 香港のデモ参加者らは、中国建国70周年を迎える10月1日の「国慶節」に集会を行い、「独裁的な中国と自由な香港との違いを強調しようとするだろう」と、香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のウィリー・ラム(Willy Lam)教授は語る。

■燃える香港

 香港の警察当局は過去にも公共の安全を理由にデモの許可申請を却下しているが、10月1日の許可については現時点では不明だ。

 だがこれまでも、「許可が下りずにデモが中止されても、群衆は街に繰り出してきた」と香港のテレビ司会者で政治評論家のマイケル・チュガニ(Michael Chugani)氏は言う。

「世界に配信されるのは、中国の祝賀式典ではなく、燃える香港の映像だろう。中国のプロパガンダ組織が発信したがっている、慎重に作り上げた安定と繁栄のイメージは、それによって崩される」 (c)AFP/Poornima WEERASEKARA