私は常に自分に対して懐疑的でありたい。特に自分が咄嗟に出した言葉には敏感でありたい。例え他人から細かくて面倒くさい人間だという評価を下されようとも。
近年ジェンダーにおける世界のスタンダードが大きく変わろうとしている。ジェンダーに関する話になった途端声を荒げる人、泣き出す人、話を聞いていない素振りを見せる人、その誰もが転換期に困惑しているのだと思う。つい先日尊敬していた人に「女性らしくて丁寧な作品作りでいいですね」と褒められたことがある。私はあの時なんて返せばよかったのだろうか。勿論その人は尊敬できる「いい人」であることに変わりはなく、私も怒りや悲しみは一切感じていない。あの場には(大げさな表現になってしまうが)加害者や被害者などという物差しすら存在しなかった。ただ、このままでは互いに傷つく日がいつか訪れるだろうという黒にも白にもなりきれない色の微小な点だけが心の中にいつまでも残り続けている。(ペンネーム:M.N.)

[東京電機大学]