【10月1日 Xinhua News】中国配車大手の滴滴出行(Didi Chuxing)とソフトバンク(SoftBank)の合弁会社であるDiDiモビリティジャパンは昨年9月、大阪でサービスを開始。以来、順調な運営を続けており、中国のアプリという「神器」を通じて日本のタクシー乗車難の解消に力を注いでいる。同社の林励(Lin Li)副社長がこのほど、東京で新華社(Xinhua)のインタビューに応じ、今後の日本でのサービス展開や訪日中国人観光客への対応などについて語った。

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 滴滴出行とソフトバンクは昨年2月、合弁会社を設立し、日本のタクシー市場に進出することを発表。6月には合弁会社のDiDiモビリティジャパンを設立し、9月に大阪でサービス運営を開始した。林氏はこれについて「われわれは現在、大阪でのシェアがトップであり、大阪のユーザー満足度が全ての配車アプリの中で最も高い」と語った。

 林氏によると、同社は大阪に続き、京都や東京、兵庫、北海道、名古屋などでもサービスを開始しており、人口約5000万人をカバー。今年9月時点の提携タクシー会社は200社を超えている。

 林氏は、タクシー会社にデジタル配車技術を導入した他、日本のユーザーの消費習慣をできるだけ理解し、ニーズを満たすようにしていると説明。業界を超えたリソースの提携を蓄積しており、滴滴の国際版アプリではグーグルマップやヤフージャパンと提携し、利用者がこれらのアプリから直接、タクシーを呼べるようにしていると述べた。林氏によると、これらは全てDiDiモビリティジャパンのオーダーメードだ。

 中国人観光客へのサービスについて林氏は、地元のユーザーだけでなく、訪日中国人観光客にも良質なモビリティーサービスを提供したいと強調。滴滴出行は中日ローミングサービスを提供しており、中国人観光客が日本で滴滴出行の中国版アプリを使って直接タクシーを呼べる他、アプリには中国人観光客向けに中国語と日本語のリアルタイム翻訳機能や中国語カスタマーサービス、キャッシュレス決済の「支付宝(アリペイ、Alipay)」や「微信支付(ウィーチャットペイ、WeChat Pay)」などの機能も備わっていると紹介した。

 林氏は日本での成功体験について、異なる監督・管理環境や人口構造、産業エコシステムと向き合い、国情や業界の特徴を十分に理解することが基礎になると指摘。「既に成熟している経験と技術を、日本でいかに素早くコピーするか。同時に差別化が必要なところをどう見極めるか。これらについて謙虚に学ぶ必要がある」と語った。

 林氏はまた、日本市場の最大の特徴は高齢化で、それはタクシー事業者だけでなく、消費者の側にも表れていると分析。これは自社の製品と技術が価値を発揮できる場だと述べ、ビッグデータによる駆動と先進的な運営方式で、高齢化が目立ち、人件費が高い日本のタクシー業界が新たな生産力を生み出すのを後押ししていく考えを示した。

 滴滴出行は日本以外では、オーストラリアや中南米などの市場でタクシーやネット配車を含むモビリティーサービスを提供している。この他、ブラジルやメキシコなどとスマート交通で提携しており、中国のスマート交通技術をより多くの市場に広めていく考えだ。

 林氏は最後に「過去数年間、モバイルインターネットの波は中国の発展に大きな力をもたらし、一部の分野では中国が世界の先頭を歩んでいる。中国のIT企業として強い使命感を持ち、中国のブランド、技術、サービスをより多くの場所に広めていきたい」と意気込みを語った。(c)Xinhua News/AFPBB News