【9月26日 AFP】先史時代、現在の欧州にあたる地域に住んでいた人類の祖先が、現代とほぼ同じ方法で子どもを乳離れさせていたことを示す初の証拠が見つかった。研究に関わった考古学者らによると、離乳のプロセスでは、子どもに動物の乳を与えるための専用の哺乳瓶が使われていたという。

 この発見は、古代人の幼児期と子育てに関する希少な手掛かりをもたらすものとなった。専門家らによれば、これは長年見過ごされてきた分野だという。

 今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、英ブリストル大学(University of Bristol)の生体分子考古学者、ジュリー・ダン(Julie Dunne)氏は、「これは、先史時代の乳幼児が何を飲食していたかに関する初の直接的証拠だ」とAFPの取材で語った。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された今回の研究では、現代のドイツ南部バイエルン(Bavaria)地方にある鉄器・青銅器時代の墓地遺跡中の子どもの墓で発見された3個の土器に着目した。うち2個は紀元前800~450年の墓地遺跡群から発見され、もう1個は紀元前1200~800年の遺跡から発見された。

 土器は細い注ぎ口があり、動物に似た形をしたものもあった。考古学者チームは、こうした特徴から、土器が子どもに乳を与えるための瓶として使われていたとの仮説を立てた。

 この仮説を検証するために、研究チームは土器の内部から試料を採取し、綿密な化学分析を実施した。分析の結果、土器のうちの2個は牛などの反すう動物の乳が入っていたとみられ、もう1個には恐らく豚や人間など、反すう動物のものではない乳の痕跡が確認できた。

 研究チームはこの分析結果と、子どもの墓の内部で土器が発見されたことを考慮し、3個の土器が子どもを離乳させるのに使われた哺乳瓶だと結論付けた。

 これまでにも哺乳瓶とみられるより古い年代の遺物も見つかっているが、使用目的を裏付ける手掛かりが得られていなかった。