【9月25日 AFP】インドネシアで続く森林火災による大気汚染が、1000万人近い子どもたちの健康を危険にさらしていると、国連(UN)が25日警鐘を鳴らした。

 インドネシアの森林火災により数週間にわたって有害な煙霧が東南アジアの空を覆い、学校や空港は閉鎖に追い込まれ、人々はマスクを買い求めたり、呼吸器系の不調を訴え医療機関に駆け込んだりしている。科学者らは温室効果ガスが大量放出されていると指摘している。

 インドネシア政府は、農業用地とするために森林が焼き払われたことから広がったこの火事に対処するため、数万人規模の人員と消防飛行機を動員している。同様の火事は毎年のように問題になるが、今年は日照りが続いたため2015年以来最悪の事態となっている。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、スマトラ(Sumatra)島とボルネオ(Borneo)島のインドネシア領のうち最も被害が深刻な地域には、18歳未満の子ども1000万人近くが居住しており、うち4分の1は5歳未満だという。

 幼い子どもは免疫が発達していないため特に被害を受けやすく、また母親が妊娠中に大気汚染にさらされると子どもが低体重で生まれるといった問題が生じる可能性があるという。

 インドネシア各地ではまた大気環境の悪化によって多数の学校が休校になり、数百万人の子どもたちが授業を受けられない状態が続いている。

 ユニセフのデボラ・コミニ(Debora Comini)氏は「インドネシアにとって、大気環境の悪化は日増しに大きくなる深刻な問題」だと述べ「数百万人の子どもらが毎年、健康を脅かし、学校を休む原因となる有害な空気を吸っている…結果として、生涯にわたる身体的な損傷や認識能力の衰えにつながる」と語った。

 インドネシアと並行してブラジルのアマゾン(Amazon)やオーストラリアなど世界各地で山火事が多数発生しており、科学者らは地球温暖化に及ぼす影響について懸念を強めている。(c)AFP