【9月25日 AFP】2012年に米コロラド州の映画館で起きた銃乱射事件の犠牲者遺族が、米映画大手ワーナー・ブラザース(Warner Bros)の新作映画『ジョーカー(Joker)』について懸念する文書を公開したことを受け、同社は24日、主人公の悪役ジョーカーをヒーローとして描いてはいないと釈明した。

 来月公開の同映画はヒーローキャラクター、バットマン(Batman)の宿敵であるジョーカーが主人公で、その「性格描写」が大きな話題を呼んでいる。ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)が主演し、アカデミー賞作品賞に推す声もあるが、精神疾患や暴力行為の描写が映画を見た人を扇動し得るとして懸念する声が上がっている。

 そうした中、7年前にコロラド州オーロラ(Aurora)の映画館で起きた銃乱射事件の犠牲者の遺族ら5人が24日、米ハリウッド(Hollywood)の業界誌上で書簡を公開。遺族らは「ワーナー・ブラザースが、ジョーカーを共感できる背景を持った主人公として描く映画を公開すると知ったとき、私たちは戸惑いを感じた」と述べた。

 2012年の事件では、映画「バットマン」シリーズの最新作(当時)の深夜上映中に男が銃を乱射し、12人が死亡、70人が負傷した。

 遺族らの公開書簡は映画自体は非難せず、「発言や表現の自由」を支持すると述べているが、ワーナーに映画産業を通じて銃規制や犠牲者の支援を行うよう強く求めた。

 これに対してワーナーは「架空の人物ジョーカーも、この映画自体も、実世界でのいかなる暴力をも支持するものではない」と釈明。「制作陣にもスタジオにも、このキャラクターをヒーローとして立てようという意図はない」と述べた。また銃による暴力は「深刻な問題」だと述べ、犠牲者には寄付金を送り、銃規制法を支持していると説明した。(c)AFP/Andrew MARSZAL