【9月26日 Xinhua News】中国・陝西省(Shaanxi)考古研究院は21日、同省北部の神木市(Shenmu)にある石峁(Shimao、シーマオ)遺跡で5月に出土した約4000年前の楽器「口簧(こうこう、口琴)」23点の、最新の研究成果を発表した。今回の音楽史上の重大発見は、中国の北方文化がユーラシア草原沿いに西と北へ伝播(でんぱ)したことを証明する重要な実物証拠になるという。

 石峁遺跡は今から約4000年前の極めて大規模な先史遺跡で、同研究院の孫周勇(Sun Zhouyong)院長によると、口簧は同遺跡皇城台の東側擁壁北部分の堆積層から集中して出土した。同堆積層は約4000年前の「ごみ捨て場」に相当するという。23点の口簧は2017年から18年にかけて考古スタッフがこれらの「ごみ」を選別した際に見つかった。3点は完全な状態で見つかり、その他は異なる程度の欠損があった。いくつかの骨片や加工途中の未完成品も出土した。

 口簧とは、弁を振動させ奏者の口腔で音を共鳴させる体鳴楽器で、中国では20以上の少数民族の間で広まり、主に娯楽や男女の社交の場で演奏されている。同遺跡で見つかった口簧は、骨製の細長い形状で、琴鞘(枠)と弁で構成されており、本体には彫刻が施されている。長さ8~9センチ、幅約1センチのものが中心で、厚さはわずか1~2ミリ程度。形状はさまざまで、一部には琴鞘またはその先端部分に紋様が刻まれている。

 石峁遺跡では口簧とともに膨大な陶器や骨器、石器、玉器などの器物も出土した。いずれも河套地域(中国北西部の黄河上・中流の湾曲流域)の竜山時代(後期新石器時代)後期の典型的な特徴を示している。放射性炭素年代測定により、これらの口簧は今から約4000年前のものと判定された。

 西安音楽学院の李宝傑(Li Baojie)副院長は、同遺跡で出土した口簧を含む大量の重要な音楽文化財は、中国北部の原始音楽の実物資料を格段に充実させ、中国先史時代の音楽発展の研究に貴重な情報をもたらしたと語る。また、同遺跡の口簧は近現代に世界各地で流行した口琴類楽器の原型と見なすことができるとも指摘。その伝播と流布は、古代民族の流動と移動、文化交流と密接な関係があり、ユーラシアのステップ回廊における初期人類の活動を探る手がかりになるとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News