【9月24日 AFP】フィレンツェ派絵画の祖チマブーエ(Cimabue)によるルネサンス(Renaissance)初期の作品「あざ笑われるキリスト(Christ Mocked)」が、パリ近くの町に住む高齢女性宅の台所から見つかった。推定400万〜600万ユーロ(約5億〜7億円)の価値があるという。美術商エリック・テュルカン(Eric Turquin)氏の事務所が23日明らかにした。

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 チマブーエは13世紀の画家で、巨匠ジョット(Giotto)の師でもある。

 発表によると、「あざ笑われるキリスト」はフランス北部の町、コンピエーニュ(Compiegne)に住む高齢の女性が所有していたもの。女性宅の台所と居間の間の壁に掛けられ、料理に使うホットプレートの真上にあった。

 同作はチマブーエが1280年から製作した大型のディップティック(ちょうつがいでつながった2枚折りの絵画)の一部と考えられている。このディップティックにはキリストの受難と磔刑(たっけい、はりつけの刑)の8つの場面が描かれていた。

 他の場面を描いた部分のうち、「聖母子と2天使(The Virgin and Child with Two Angels)」は英ロンドンのナショナルギャラリー(National Gallery)」で、「むち打たれるキリスト(The Flagellation of Christ)」は米ニューヨークのフリック・コレクション(Frick Collection)でそれぞれ展示されている。

「あざ笑われるキリスト」の所有者は、地元のオークションハウスに鑑定を依頼した時、作品を古めの宗教画だと考えていた。

 同作は10月27日、パリの北にある町サンリス(Senlis)のオークションハウス、アクテオン(Acteon)で競売にかけられる。(c)AFP