【9月23日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)が、今年前半にロシア・モスクワの検査所から一斉に回収した薬物検査の検体と資料に対して、改ざんの疑いを持っていることが分かった。この件に詳しい関係者がAFPに明かした。

【図解】ロシアのドーピングの実態、薬物違反隠ぺいの手口

 この件では、ドイツの公共放送ARDの記者ハイオ・ゼッペルト(Hajo Seppelt)氏が、ツイッター(Twitter)で「モスクワの検査所から回収したサンプルには改ざんの疑いがある」とつぶやいていたが、この関係者もゼッペルト氏の意見を支持している。

 WADAのコンプライアンス審査委員会(CRC)は、ロシアへの制裁を提案するべく、23日に東京で行われるWADAの会合で、報告書を提出する準備を進めている。AFPがWADAの広報に連絡を取ったところ、CRCの報告書は会合後に公表する予定で、現時点で話せることはないという回答があった。

 ロシアは2015年に国家ぐるみのドーピングを暴露され、同国の選手はあらゆる国際大会から追放されていたが、WADAは2018年9月に物議を醸す処分解除を決めた。その大きな条件が検査所のデータの全面提供だっただけに、改ざんが実証されれば、2020年東京五輪をはじめとする今後の国際大会への出場禁止など、新たな制裁が科される可能性もある。

 ロシアの選手は現在、多くが特別な許可を得て、中立の立場で国際大会に出場している。国際陸上競技連盟(IAAF)は27日から始まる第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)の前に、ロシアの処分解除について再検討することを予定している。(c)AFP