【9月22日 AFP】21日に行われたラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)のフィジー戦で、オーストラリアの選手の危険なタックルが見過ごされたことに対して、タックルに関する新たな方針を定めた専門家から、ルールの運用に対する疑問の声が上がっている。

【写真特集】9月21日のラグビーW杯日本大会

 ツイッター(Twitter)で声を上げたのは、南アフリカのスポーツ科学者であるロス・タッカー(Ross Tucker)氏。タッカー氏はワールドラグビー(World Rugby)の顧問として、ハイタックルに対する処分の度合いを決める際に、主審が参照する「パスウェイ型(段階評価型)」のチェックリスト作成に協力した。

 タッカー氏が取り上げたのは、札幌ドーム(Sapporo Dome)で行われたオーストラリア対フィジー戦の26分の場面で、オーストラリアのリース・ホッジ(Reece Hodge)が肩で相手のペゼリ・ヤト(Peceli Yato)の頭に当たりに行ったにもかかわらず、レッドカードが出されなかったことだった。

 試合はオーストラリアが39-21で勝利したが、ホッジのタックルがなければヤトはトライを決めていた可能性があった中で、主審はペナルティートライの判定も下さなかった。先制トライを決めるなどの輝きを放っていたヤトは、この衝突で負傷交代。さらに頭部外傷の評価(HIA)に引っかかり、脳振とうに関する手続きに基づいて、25日のウルグアイ戦は欠場する見込みとなった。

 タッカー氏は、高い位置にある肩が頭部と接触していることを指し、この場面がそのまま流されたことに驚きながら、現行の方針では一発レッドカードが妥当だったとつぶやいた。フィジー主将のドミニコ・ワカニブロツ(Dominiko Waqaniburotu)によれば、ベン・オキーフ(Ben O'Keeffe)主審にTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)での確認を求めたが、正当なタックルとみなされたという。

 さらにタッカー氏は、開幕戦の日本対ロシア戦でも、日本のジェームス・ムーア(James Moore)のワシリー・ドロフェエフ(Vasily Dorofeev)へのタックルが同様のケースに当たると考えており、「パスウェイ2がすでに2回で、2人のボール保持者がHIAを受けている。良いことではない」とコメントしている。

 今大会の審判委員長を務めるアラン・ローランド(Alain Rolland)氏は大会直前、仮にレッドカードが試合結果を左右することになったとしても、ハイタックルには厳罰を与えると各チームに警告していた。しかし今回の件は、フィジーのようなティア2国が、またしても重要な場面で不利な判定を下されたのではないかという疑問を再燃させている。(c)AFP/Julian GUYER