■メンタルヘルスの改善に効果

 最近の研究では、VRはうつ病や不安神経症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やその他メンタルヘルス改善の一助となることが示されている。

 マイアミ大学(University of Miami)の神経心理学者アルドリッチ・チャン(Aldrich Chan)氏は「画像による誘導や瞑想(めいそう)などが、認知力のような事柄に対して非常に有益であることが分かっている。また、直接の行動的介入も個人にとって非常に役立つ」と説明する。

 チャン氏はイコーリティーラボで顧問をしており、高齢者のケアにおけるVR使用の潜在的効果、特に高齢者の最後の願いをかなえることの効果について定量化を進めている。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームは、うつ病の一種でさまざまな事柄に喜びや関心をもてなくなる「無快感症」の治療にVRを使う研究を行っている。

 精神医学の専門家ミシェル・クラスク(Michelle Craske)氏のチームは、無快感症の治療と幸福感を高めるため、VRや瞑想によって患者にプラスの体験をさせることに重点的に取り組んでいる。

 学術誌「ジャーナル・オブ・コンサルティング・アンド・クリニカル・サイコロジー(Journal of Consulting and Clinical Psychology)」に今年掲載されたクラスク氏の研究によると、プラスの体験をする治療を受けた人は、陰性症状に重きを置く通常の治療を受けた人に比べ、うつ病、不安神経症、ストレスレベルが低いことが分かった。(c)AFP/Leila MACOR