【9月21日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が野党・民主党の前副大統領で2020年の大統領選で対立候補になる可能性があるジョー・バイデン(Joe Biden)氏の息子に関する調査を行うようウクライナの大統領に圧力をかけていたとの複数のメディアの報道を受け、トランプ氏は20日、「ばかげている」と非難し、報道につながった自らの不正行為に関する内部告発の内容を強く否定した。

 トランプ氏が他国の首脳との電話で不適切な行為をしたとする非公開の内部告発を受け、民主党幹部らが事実関係を明らかにするよう要求している議会と、それを拒否する政権との間で緊迫した対立が起きている。

 一方で、トランプ氏が、次期大統領選で対立候補になる可能性があるバイデン氏に不利な情報を提供するよう、ウクライナ側に強要しようとしたとの懸念も生じている。それが事実なら、トランプ氏がヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏に勝利した2016年の大統領選にロシアが介入したのと同じように、米国の選挙に対する他国の干渉を意味する。

 問題となっているのは、トランプ氏が5月にウクライナ大統領に就任した元コメディアンのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)氏と7月25日に行った電話協議。民主党は、トランプ氏と同氏の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏がウクライナ政権に対して圧力をかけようとしたとする疑惑に関連して、この電話協議を調査していた。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は、匿名の元米高官2人の話として、告発はトランプ氏がウクライナとの協議の中でしたとされる「約束」に基づいていると報道。

 トランプ氏は同記事について「ばかげている」と非難し、「党派心の強い内部告発者」を攻撃した。ただし、自身は内部告発者の身元は把握していないと述べた。

 トランプ氏は、電話の相手や会話の内容は明かさなかったが、会話は「全く適切」だったと主張。ウクライナでの行動を調査されるべきなのは、バイデン氏と同氏の息子だと指摘した。

 これに対し、バイデン氏は激しく反論。トランプ氏に対し、電話の会話記録を直ちに公開するよう要求し、トランプ氏がウクライナ大統領に強要しようとしたとする報道が事実なら「明らかな汚職」だと非難した。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)は、トランプ氏がゼレンスキー氏に対し、ウクライナの天然ガス会社と仕事をしていたバイデン氏の息子が関与した汚職疑惑について調査するよう8回ほどにわたって電話で強要したと報じている。(c)AFP/Michael Mathes