【9月21日 AFP】インドネシアで、同性・異性間の婚前・婚外交渉を禁止する刑法改正案が議会を通過する見通しとなり、世論の反発を呼んでいる。ジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領は20日、議会に対し法案の採決延期を要請した。

 ウィドド大統領は反発が出ていることから、刑法改正案は慎重に吟味されるべきだと表明。来週の会期終了前に予定されている採決の中止を議会に要請した。

 改正案が成立すれば、婚前・婚外交渉を持った男女は禁錮6月~1年と罰金を科される可能性があり、世界最大のイスラム教国である同国で暮らす多数の人に影響が及ぶ恐れがある。また、インドネシアでは同性婚が合法化されていないため、新法は同国の小さな性的少数者(LGBT)コミュニティーを罰するものになるとの懸念も生まれている。

 在インドネシア・オーストラリア大使館は20日、インドネシアへの渡航者に対し、新法が未婚の外国人旅行者にも適用される可能性があるとして、注意を呼び掛けた。

 インドネシアでは、オランダ植民地支配時代にさかのぼる刑法の改正をめぐる議論が数十年前から続いていた。昨年には一時、改正案が議会を通過する見通しとなったものの、立ち消えとなっていた。

 刑法改正を目指す動きは今年、保守系イスラム団体の支持を受けて再び勢いを得たが、人権団体や一般市民の多くは私的な行為を侵害する厳格な法律だとして激しく反発している。(c)AFP