【9月20日 AFP】ネアンデルタール(Neanderthal)人の外見はよく知られているが、ネアンデルタール人に近い初期人類で約5万年前に絶滅したデニソワ(Denisovan)人の姿は長らく謎のままだった。しかし、イスラエルの研究チームがこのほど、わずかなデニソワ人の化石――歯3本、小指の骨1本、下顎の骨――のDNAを分析し、デニソワ人の外見を突き止めた。

 これまでほとんど手掛かりのなかったデニソワ人の姿を再現したのは、エルサレム・ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)のリラン・カルメル(Liran Carmel)教授が率いるチーム。教授らは、3年かけてデニソワ人の化石のDNAの化学変化パターンを分析し、このパターンをネアンデルタール人と現生人類のものと比較。遺伝子の解剖学的特性の機能が失われるヒトの疾患の知識を応用し、ネアンデルタール人と現生人類双方、またはその一方とデニソワ人との間に56の相違点を発見した。カルメル教授によれば、この手法の信頼度は85%に上るという。

「デニソワ人はわれわれよりも、進化的に近いネアンデルタール人に似ている」(カルメル教授)

 デニソワ人の頭部は現生人類やネアンデルタール人よりも横幅が広く、顎先はなかったとみられるという。

 数年前に中国で見つかった頭蓋骨にも横幅が広い特徴があることから、同じ手法を用いてデニソワ人と特定できると期待されている。

 デニソワ人とネアンデルタール人は、約40万~50万年前に現生人類ホモ・サピエンス(Homo Sapiens)とは別に枝分かれした系統。(c)AFP/Clothilde Mraffko