【9月20日 AFP】ロシア最高検察庁は19日、野党勢力を支持するデモで警官に暴力を振るったとして逮捕され、禁錮3年6月の有罪判決を言い渡された俳優について、釈放と判決の変更を裁判所に要請した。不当な判決だとして、有名俳優が大勢参加する連帯運動やデモが起きていた。

 渦中のパベル・ウスチノフ(Pavel Ustinov)氏(22)は、ほぼ無名の新人俳優。先月行われたデモで警官を暴行したとして、今週モスクワ地裁で禁錮刑を言い渡された。本人は、デモの現場に居合わせただけだと主張していた。

 ウスチノフ氏の逮捕をめぐっては、地下鉄駅の近くで携帯電話を片手に立っていた同氏に向かって複数の機動隊員が突進し、警棒で殴りつける様子を捉えた動画がある。警察が正当な理由なくウスチノフ氏を攻撃した証拠といえるが、検察側は同氏が逮捕時に抵抗して警官の肩を脱臼させたと主張。動画の内容は裁判では考慮されず、人々の大きな怒りを招いた。

 判決を受け、映画スターから聖職者までが参加する大規模な連帯運動が起き、普段は政治の話をしない俳優ファンたちもソーシャルメディアでウスチノフ氏の一件を話題にした。クレムリン(ロシア大統領府、Kremlin)前では18~19日、数百人がデモを行った。

 最高検察庁は19日夜、ユーリ・ポノマリョフ(Yury Ponomaryov)次席検事がウスチノフ氏を釈放するよう地裁に求めたと発表した。ウスチノフ氏の有罪判決や同氏の行動の解釈には異議はないと強調しつつ、量刑は「厳しすぎ」て不当であり、判決を変更する必要があるとしている。事実上の判決撤回とみられる。

 地裁は20日、ウスチノフ氏の釈放について検討する。

 モスクワではこの夏、9月8日投開票の市議会選で当局が野党候補を排除したことに抗議する大規模デモが相次ぎ、厳しい取り締まりで一時は数千人が身柄を拘束された。これまでに6人が禁錮2~4年の有罪判決を受けている。(c)AFP