【9月20日 AFP】チュニジアのジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領(83)が19日、亡命先のサウジアラビアで死去した。チュニジア外務省がAFPに明らかにした。ベンアリ氏は「アラブの春」の抗議行動で失脚した最初の国家首脳だった。

 外務省は「30分前に彼の死を確認した」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。ベンアリ氏の弁護士も家族と担当医からの情報として、同氏の死去を認めた。

 1987年から2011年までチュニジア大統領を務めたベンアリ氏は、一部からはイスラム過激派を阻止した人物として認められていた一方で、反対派の封じ込めや民主主義の受け入れに消極的な姿勢で批判を浴びた。

 チュニジアではやがて失業率と物価上昇に対する不満が高まり、2010年末に露天商の青年による焼身自殺がきっかけで、国を揺るがす大規模なデモが発生。弾圧による死者が出る事態となり、ベンアリ氏は2011年1月14日、サウジアラビアに脱出した。

 ベンアリ政権の急速な崩壊は、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)氏率いるエジプトやムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)氏率いるリビアなどの周辺国でも同様の反政府行動を引き起こし、シリアで8年間にわたり続く内戦にもつながった。(c)AFP