【9月19日 AFP】オランダの首都アムステルダムで18日、大規模な犯罪組織の麻薬事件に関わっていた弁護士が自宅前で射殺された。オランダが「麻薬国家」になりつつあるとの懸念が、改めて広がっている。

 2児の父親のデルク・ウィアスム(Derk Wiersum)氏(44)は、自宅を出た直後に路上で射殺された。フード付きの上着姿の容疑者は徒歩で逃走。警察が行方を追っている。

 マルク・ルッテ(Mark Rutte)首相は、首都で起きた白昼の凶行を「極めて不穏」と形容し、警察が事態を注視していると述べた。

 ウィアスム氏は、オランダの最重要指名手配犯と目され、殺人と麻薬取引容疑で国際逮捕状も出ているモロッコ生まれの男2人に対する事件の裁判で、証人の弁護人を務めていた。

 1年前には、この証人の兄弟も射殺されており、なぜウィアスム氏の警備が強化されていなかったのか、疑問視する声が出ている。

 オランダでトップクラスの知名度を誇る事件記者のペーター・デフリース(Peter de Vries)氏はBNRラジオに対し、「前代未聞」の事件だと語った。

 警察の主要労働組合NPBは、今回の銃撃はオランダの治安が制御不能に陥りつつあることを示していると指摘。ある関係者は「われわれが麻薬国家で暮らしていることが確認された。法の支配に対する攻撃だ」と述べた。(c)AFP