【9月19日 AFP】英ロックバンド、ビートルズ(The Beatles)の地元リバプール(Liverpool)で、故ジョン・レノン(John Lennon)が名曲「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー(Strawberry Fields Forever)」を作るきっかけとなった孤児院の跡地が一般公開されている。

 レノンは子ども時代、叔母の家のフェンスを登って、孤児院「ストロベリー・フィールド(Strawberry Field)」に行っては、他の子どもたちと遊んでいた。

 リバプールのウールトン(Woolton)にあるこの孤児院を見ようと、毎年約6万人のファンが訪れては有名な赤いゲート越しに写真を撮っていたが、これまで敷地内が一般公開されたことはなかった。

 しかし、2005年まで慈善団体の救世軍(Salvation Army)が運営していた孤児院の門は今後、永遠に開かれたままとなる。門の前でAFPの取材に応じた救世軍のアリスター・バースフェルド(Allister Versfeld)少佐は、「多くの人が言う、真の静けさと安らぎを感じる庭をぜひ味わってほしい」と語る。

 しばらく放置されていた孤児院は今、学習障害のある18~25歳の若者の就職支援を行うセンターとなっており、その運営資金の一部が一般公開によって賄われる。

 バースフェルド氏によると、カフェや売店が併設されるセンター内では、救世軍やこの孤児院の歴史、レノンの子ども時代に関するエピソードや、「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の直筆の草稿が展示されている。壁には「僕にとってはどうでもいいことさ」という歌詞の一節やモザイクでできたレノンの顔が飾られ、またレノンが大ファンだったエルビス・プレスリー(Elvis Presley)の邸宅「グレースランド(Graceland)」から貸し出された品々もある。

 レノンの母ジュリアは自動車事故で亡くなるまで近所に住んでいたが、レノンを育てたのは叔母だった。ストロベリー・フィールズはレノンにとって、他の子どもたちに会うだけではなく、物事をじっと考える場所でもあったとバースフェルド氏は言う。「彼は遊びに来ては、そこで起きていることを観察していた」「ここの静けさと安らぎを感じ、ある種の聖域のように思っていた」

「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の歌詞を見て多くの人は「何を歌っているんだろうと思うかもしれないが、それは彼が見つけた、自分にとって特別な場所のことなんだと思う」とバースフェルド氏は語った。(c)AFP/Paul BARKER