■高齢者が奪う若者の雇用機会

 今日、韓国のファッション産業は43兆ウォン(約3兆8000億円)の市場規模となっている。だが、60歳以上の人が衣類や靴に費やす金額は1か月平均3万8000ウォン(約3300円)で、40歳未満の3分の1程度だ。

 チョさんのような高齢者セレブは、韓国の若者の心をつかみインターネット上で多くのフォロワーを獲得しており、世代間の政治的・社会的分断が広がる中、その溝を埋めるささやかな橋渡し役となっている。

 シニアモデルのキム・チルドゥ(Kim Chil-doo)さん(64)は、インスタグラム(Instagram)で約7万5000人のフォロワーがいる。ユーチューブ(YouTube)にメークのこつについての動画を投稿しているパク・マクレ(Park Mak-rye)さん(72)は、40万人以上のファンがいる。

 少子高齢化に直面している韓国では、生産年齢人口に対する高齢者の割合が上昇しており、世代間の緊張が高まっている。高齢者に対して「入れ歯をした虫」「年金生活虫」など軽蔑的な言葉が使われることも多くなっている。

 韓国の国家人権委員会(National Human Rights Commission)の調査では、19~39歳の半数以上が、高齢者の雇用創出を奨励する政策によって若者の雇用機会が奪われる恐れがあるとの不安を抱いていることが明らかになっている。

 映像は6月11日撮影。(c)AFP/Claire LEE