【9月18日 AFP】フランスの主要科学機関が新たに作成した2つの気候モデルにより、主に化石燃料の燃焼で大気中に排出された温室効果ガスによる地球表面温度の上昇が、これまで考えられていたより急速に進んでいるとの計算結果が示された。

【写真特集】地球温暖化

 両モデルはピエール・シモン・ラプラス研究所気候モデルセンター(IPSL-CMC)とフランス国立気象研究センター(CNRM)がそれぞれ作成したもので、パリで17日に発表された。

 両モデルによると、炭素排出が現在の水準で続いた場合、産業革命以前の水準と比べた平均気温の上昇幅は2100年までに7.0度に達する可能性がある。この値は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2014年に公表し、これまで指標とされてきた第5次評価報告書(AR5)での同条件の予測よりも2度高い。

 IPCCが2021年に発表する次回の主要報告は、「第6期結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP6)」と総称される30余りのモデルに基づき作成される予定で、今回発表された2つのモデルもここに含まれる。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」は、産業革命以前からの気温上昇を2度よりも「十分低く」抑え、可能であれば1.5度以下にするとの目標を定めたが、新たな計算結果から科学者らは、目標達成は楽観的に見ても困難だとしている。

 IPSL気候モデルセンターのオリビエ・ブシェール(Olivier Boucher)所長はAFPに対し、これまで気温上昇幅を2度以下に抑える目標の達成が可能とされてきた「SSP1 2.6」と呼ばれるシナリオでは「不十分」であることが、2つのモデルで示されたと述べた。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)准教授で、IPCC報告の主筆者の一人でもあるユーリ・ロゲル(Joeri Rogelj)氏は、重要な不確実性は残るものの、CMIP6にモデル作成における最新の改善点が織り込まれていることは明らかだとAFPに述べた。

 一連の改善点には、スーパーコンピューターの能力が向上したことや、気候システム、自然由来および人工の微粒子、温暖化に伴う雲の変化がより正確に表現されるようになったことなどがある。

 前出のブシェール氏もモデルが改善されたと指摘。新モデルについて「より精密で、現在の気候の傾向をより正確に再現している」と述べた。(c)AFP/Marlowe HOOD