左が英語版で、右が新たに出版された日本語版。簡易なペーパーバックの英語版に対し、日本語版はしっかりとしたカバーのついた、より豪華な装丁となっている。版元はシースケープ・パブリッシング出版事業部。定価は本体価格3980円+税。今月の79号車はエンジン・ドライビング・レッスンに参加して雨の筑波を走った。4駆の威力発揮のつもりが思い通りには行かず。タイムも今ひとつ。

9月のロードスター4時間耐久レースの時、応援に駆けつけてくれたエンジン読者でドライビング・レッスン会員でもある夏目紘平さんから、「今度こんな本を出すことになりました」と、一冊の本をいただいた。『101プロジェクト/ポルシェ911 996 and 997』と題された、300ページ以上もある写真がふんだんに使われたメンテナンス本だ。表紙を見て、これなら英語版を持っているとすぐに気がついた。

洗車、オイル交換に始まって、エンジンやシャシーの修理まで、ありとあらゆるメンテナンスのやり方が懇切丁寧に解説された定番本である。とはいえ、持っていても英語では面倒なのでしっかり読んでいなかったが、それが日本語で手軽に読めるようになったのは有難い。帰宅後、さっそく繙いてみると、996&997の最大の問題点と言われるインターミディエイト・シャフトのベアリングのことなど、驚くほど詳しく解説されていて、ひとしきり読みふけってしまった。

なにが原因で、どんな症状が起こり、どういう対策を施せばいいのかまで、写真入りで明確に書いてあるから、これまで抱いていたモヤモヤが一気に晴れた気分になった。オーナーはもちろんポルシェ好きなら、一度はしっかりと読んでおくべき内容が書かれている。

実は夏目さんも2006年型997カレラのオーナーで、3年ほど前に米国にいる友人に教えられてこの本の英語版に出会い、読んで目から鱗が落ちる思いをしたのが、日本語版を出そうと思い立つきっかけになったのだという。夏目さんはドライビング・レッスンにランボルギーニ・ガヤルドでお見えになったこともあるし、そのほかにもBMWのM5やM4コンバーチブル、ポルシェ・ボクスターやケイマンGT4などを乗り継いできた生粋のクルマ好きだが、12年間997カレラだけはずっと所有し続けており、それは「最後に必ず帰っていく原点のようなクルマ」なのだそうだ。

で、「日本のクルマ好きのための本は、横方向の拡がりを誘うものが多いけれど、海外ではひとつのクルマを掘り下げる縦方向のものが出ている。こういう本が日本でも必要だと思って、自分で出すことにしたのです」と夏目さん。

とはいえ、出版にこぎ着けるまでには苦労の連続だったという。「英国の会社から版権を取得するのに始まって、翻訳、本のデザインまで、すべて自分でやりました。日本で印刷しようと思うと1冊2万円もの値段をつけないとペイしないことがわかり、最後は中国の上海の印刷会社に発注することで、この値段で出すことができたのです」

発行日は9月1日。初版は1300部で、すでに3分の1が売れたというから、この手の本にしては売れ行き好調と言っていいだろう。どうやらポルシェ・センターのメカニックや専門店のスタッフがこぞって買っているという噂もあるが、重版予定はないというから、オーナーはもちろん、今後996&997を手に入れたいと思っている人も早めに買っておいた方がいいかも知れない。

夏目さんは続いて986&987ボクスターのメンテ本の出版を準備しているという。こちらも楽しみだ。

79号車/ポルシェ911カレラ4S(996型)
PORSCHE 911 CARRERA 4S
購入価格(新車時):340万円(1244万2500円)
導入時期:2017年4月
走行距離(購入後):9万2734㎞(1万349㎞)

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=西澤 崇(本) 神村 聖(クルマ)

(ENGINE 2018年12月号)