【9月17日 AFP】米アリゾナ州の最高裁は16日、同性カップルの結婚式の招待状を作成することは自身のキリスト教の信仰に反すると訴えたカリグラフィー(装飾文字)を専門とするデザイナーの女性2人について、作成拒否は2人の権利の範囲内に当たるとする判断を示した。

 州最高裁の決定は、作成拒否がLGBTQ(性的少数者)の権利を守るため州都フェニックス(Phoenix)市が導入した条例に違反するとした、これまでの司法の判断を無効にする形となる。

 手書きの招待状を専門とする小さなカリグラフィー会社の共同経営者であるジョアンナ・デュカ(Joanna Duka)さんとブレアナ・コスキ(Breanna Koski)さんは2016年、条例をめぐりフェニックス市を相手取って法的手続きを開始した。

 弁護士らによると、2人は同性婚の招待状作成の依頼を断るたびに最高で禁錮6月と2500ドル(約27万円)の罰金を科されていた可能性があったという。

 ただ、これまで2人はLGBTQのカップルから依頼を受けたことはないという。

 2人によるとキリスト教を信仰しているため同性婚を推奨することはできず、招待状の作成もそれに含まれるという。2人はまた、フェニックス市の条例は自分たちに表現と信仰の自由に反する行いを強いるものだと裁判で主張した。

 州最高裁は判決で、「両者の同性婚に関する考えが時代遅れで、不快にすら感じる人もいるかもしれない」と指摘した一方、「ただ表現の自由と信仰の自由の保障は、十分に見識があって進歩的とみなされる人のためだけにあるのではない。すべての人々のためにある」とした。

 州最高裁は判断をすべての商業活動に適用することはしなかったが、同性愛者の権利を擁護する団体などは、今回の判決がさらなる法廷闘争の呼び水になるだろうと警鐘を鳴らしている。(c)AFP