【9月17日 AFP】122歳という史上最高齢の世界記録を持つフランス人女性、故ジャンヌ・カルマン(Jeanne Calment)さんをめぐり、娘による成り済ましではないかとの指摘が出ていたことについて、フランスの研究チームは16日、カルマンさんはやはり間違いなく史上最高齢の記録保持者であるという見方を示し、不正の疑いを否定した。

 1990年代にカルマンさんが史上最高齢だと宣言した国立保健医学研究所(INSERM)の専門家らが、新旧データを見直したところ、カルマンさんは「年齢が正確に記録された史上最高齢の人物」であることが改めて確認されたと述べた。

「神様は私のことを忘れてしまったに違いない」と、生前よく冗談を言っていたカルマンさんは、1997年にフランス南部で死去。史上最高齢とみなされたものの、その記録は疑問視されてきた。

 昨年12月にはロシアの研究者らが、カルマンさんは実は1934年に死亡しており、娘のイボンヌ(Yvonne Calment)さんが相続税を回避するために母親に成り済ましていたとの報告書を発表。1997年に死亡したのは母親のジャンヌさんではなく、99歳になっていた娘のイボンヌさんだったと指摘していた。

 一方今回のフランスの研究では、カルマンさんの身元確認に用いられた当初の情報と新たに見つかった文書を照査したところ、「税金詐欺も身分詐称もなかった」ことが明らかになったと、研究班は述べている。

 さらに同班は、カルマンさんの長寿記録はあり得ないとする主張に反論するため、数学的モデリングも活用。1000万人に1人が123歳に達し得ることが証明されたとして、「可能性としてはもちろん低いが、カルマンさんの例を統計上不可能と断定するには決して当たらない」と結論付けた。

 南仏アルル(Arles)在住だったカルマンさんは、1888年に同地に1年間住んでいた画家のビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)以来、アルルで最も有名な人物になった。

 ちなみにカルマンさんは、ゴッホにも会っているという。おじの店に絵の具を買いに来たというゴッホの印象についてカルマンさんは、「とにかく醜い」「ひどい性格」だったと話したとされる。(c)AFP