【9月17日 AFP】2011年にドイツ系ディスカウントスーパーのリドル(Lidl)で販売された大腸菌に汚染されたハンバーグを食べて重体となったフランス人の少年(10)が14日、このときの感染に起因する合併症で死亡した。少年の家族の代理人、フロランス・ロー(Florence Rault)弁護士が15日、AFPに明らかにした。

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 ロー氏によると、ノーラン(Nolan)君とされるこの少年は、2歳足らずだった2011年6月に問題のハンバーグを食べて以降、体がまひし知的障害となった。「手足は変形し、骨折しやすく、いくつもの異なる手術を受けなければならなかった。調整力を失ったために、食べることも飲み込むことも、話すことも動くこともできなかった」という。また糖尿病にもなり、栄養補給は経管栄養法で行われ、1日に数回の薬剤投与が必要で入院を繰り返していた。

 当時、ノーラン君の他にもリドルで買ったハンバーグを食べて感染した子どもが10人ほどいたが、ノーラン君の症状が特に深刻だった。これまでに死亡した被害者は、ノーラン君だけとなっている。

 リドルのフランス法人は16日、ツイッター(Twitter)で「ノーランさんのご遺族の痛みを分かち合い、苦難の時を過ごすご遺族への支援を行っていきたい」と表明した。

 この食中毒事件をめぐってフランスの控訴院は2月、「安全操業に関する故意の違反によって、不随意の傷病」を引き起こしたとする2017年の一審判決を支持し、リドルの卸売業者「SEB-Cerf」の経営者、ギ・ラモレット(Guy Lamorlette)被告(78)に3年の禁錮刑と5万ユーロ(約600万円)の罰金刑を言い渡した。

 これに対してノーラン君の母親は、「息子が元通りになるわけではない」が判決には満足だと述べていた。

 またSEB-Cerfの品質管理責任者だったローラン・アペレ(Laurent Appere)被告も同じ罪状で裁かれていたが、裁判の途中で心臓発作により亡くなった。同被告の遺族は、自殺説を激しく否定している。(c)AFP