【9月17日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は16日、同国の首都アンカラにロシア、イランの大統領を招き、シリア内戦をめぐる3か国首脳会談を行った。3者はシリア反体制派最後の主要拠点となっている北西部イドリブ(Idlib)県の人道的危機がこれ以上深刻化しないよう、協力することを誓った。

 エルドアン大統領はロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領、イランのハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領とそれぞれ個別会談を行い、その後3者で会談を行った。シリア内戦をめぐる3か国首脳会談は2017年以降、5回目となる。

 シリア内戦ではバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領をイランとロシアが断固支持する一方、トルコはアサド大統領の退陣を求め、反体制派の武装勢力を支持している。だが、アサド氏の大統領としての地位が安定してきているように見えることから、トルコの優先事項はイドリブ県からシリア北西部への難民の大量流入を防ぐことに移ってきている。

 3者は会談の最後に発表された共同宣言で、「情勢が激化している結果として(イドリブ)域内および周辺での人道的状況がこれ以上悪化するリスクを警戒しており、停戦違反を減らすために具体的な措置を取ることで合意した」と述べた。

 また、シリアの政治的安定を目指す次の段階を監視するため、長らく議論されてきた憲法委員会の設置についても合意したという。

 独立系シンクタンク「国際危機グループ(International Crisis GroupICG)」でシリア分析を専門とする上級アナリスト、ダリーン・ハリファ(Dareen Khalifa)氏によると、憲法委員会の設置はシリア内戦における軍事的成功に政治的勝利を加えたいロシア政府の優先事項だという。

 しかしハリファ氏はAFPに対し、憲法委員会の設置で合意したとしても、アサド政権の政権運営能力やあらゆる政治改革に着手する意志があるかどうかなど、シリアの政治的プロセスの将来に関する重要事項が対処されずに残ったままだと指摘した。(c)AFP/Maria Panina and Raziye Akkoc