ミャンマーの少数民族ロヒンギャに「ジェノサイドの深刻なリスク」 国連調査団
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【9月17日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)のミャンマー調査団は16日、同国のイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)は今も「ジェノサイド(集団殺害)の深刻なリスク」にさらされていると報告し、軍によって国外への避難を余儀なくされた100万人近いロヒンギャを帰国させることは、まだ「不可能」だと警告した。
調査団は昨年、ミャンマー軍による2017年の作戦は「ジェノサイド」だったと断定。ミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)総司令官を含む軍幹部らの訴追を求めた。
バングラデシュ国内に設けられた難民キャンプには以前から迫害を逃れたロヒンギャが滞留していたが、この作戦で村を焼かれた約74万人が国境を越えて殺到し、キャンプは膨れ上がった。避難した人々は、殺人やレイプ、拷問があったと証言している。
調査団はジュネーブの国連人権理事会に17日提出する最終報告で、ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州には依然として60万人のロヒンギャがとどまっていると指摘。残された人々はますます劣悪で「嘆かわしい」環境に置かれていると非難した。さらに報告は、「ミャンマーには依然としてジェノサイドの意思があり、ロヒンギャはジェノサイドの深刻なリスクの下にあると」とした。
調査団は国連安全保障理事会(UN Security Council)に対し、ミャンマーを国際刑事裁判所(ICC)に提訴するか、旧ユーゴスラビアやルワンダと同様に特別法廷を設置するよう改めて求めた。
また、報告は各国政府・企業に対し、ミャンマー軍との事業上の関係を全面的に断つよう要請。ラカイン州での投資や開発支援を一時停止するよう求めた。
このほか調査団は、ミャンマー軍はラカイン州北部の民間人に対し、強制労働や拷問などの新たな「戦争犯罪」を犯したと非難した。
ミャンマーの人権状況を担当する李亮喜(イ・ヤンヒ、Yanghee Lee)特別報告者は「1月以降、ラカイン州北部およびチン(Chin)州南部での衝突により最大6万5000人が家を追われた」としている。(c)AFP