【9月16日 AFP】イラクと湾岸協力会議(GCC)は15日、2020年までにイラクが送電線を通じて500メガワットの電力を輸入すると定めた歴史的な協定に署名した。

 イラク電力省によると、GCCが提供する資金で、クウェートからイラク南部のアルファウ(Al Faw)港まで300キロに及ぶ送電線を建設する。イラクの電力需要は推定で24ギガワットだが、実際の供給量はそれを9ギガワットも下回っている。

 イラクのルアイ・ハティブ(Luay al-Khatteeb)電力相は、イラクの首都バグダッドでエネルギー関連の会議が開かれたのに合わせて、湾岸協力会議系統連系局(GCCIA)のアフマド・イブラヒム(Ahmad Ibrahim)局長と共に、合意文書に署名した。

 ハティブ電力相は報道陣に対し、「GCCとこうした取り決めを結ぶのは初めてだ」と話し、イラクは隣接するサウジアラビアやヨルダン、トルコとも電力輸入に向け交渉中だと述べた。

 GCCIAによると、送電線の建設費は約2億2000万ドル(約240億円)と想定されている。イラクが実際に電力を輸入する際は別途契約を結ぶ必要がある。

 イブラヒム局長はAFPに対し、「GCC外との系統連系は今回が初めて。これはわれわれの将来構想の一部だ」と述べ、「これを機にさらに議論が行われ、バグダッドやイラク北部だけでなく、他の国々に電力を供給するより大規模な計画に向けた道が切り開かれることになるだろう」と語った。また同局長は、この計画は「技術的・経済的側面よりも政治的側面の方が強い」と指摘した。

 イラク政府は、サウジアラビアやクウェートなどアラブ諸国との外交関係の強化を模索しているが、同時に、強力な隣国イランとの良好な関係を維持したい構えだ。

 イラクはこの前日、戦争で被害を受けた北部バイジ(Baiji)にある出力1.7ギガワットの発電施設を修復する契約を、ドイツの複合企業シーメンス(Siemens)と結んでいた。(c)AFP