■ごみが屋根の高さまで

 1日最大40台のトラックがバングンにやって来て、住宅の外や広大な空き地にごみを捨てていく。ごみは山のように積まれ、時には屋根の高さにまで達することもある。

 住民らは熊手やスコップを持って素手でごみをあさる。安っぽい布製のマスクをしている住民も多い。

 バングンでは他の仕事はほとんどなく、地域の代表M・イクサン(M. Ikhsan)氏は、大々的に行われている廃棄物収集作業は地域の環境と住民の健康を危険にさらしているとの批判をはねつける。

■環境保護主義者と住民たちの考えは平行線

 しかし、環境保護主義者の見方は異なる。使い捨てプラスチックが夜間に燃やされ、町中に有毒ガスをまき散らし、マイクロプラスチックが水路に流れ込んでいると指摘する。

 インドネシアは中国に次いで世界2位の海洋汚染国で、2025年までに自国海域におけるプラスチックごみを約70%削減するという目標を掲げている。

 NGO「エクトン(Ecton)」の環境保護活動家で、ノーベル賞にも例えられる「ゴールドマン環境賞(Goldman Environmental Prize)」を受賞したプリギ・アリサンディ(Prigi Arisandi)氏は「(ごみの受け入れはインドネシアの)私たちにとって高くつく。医療制度の面でも、次世代のために環境をよみがえらせるにしても金がかかる」と指摘する。

 だが、バングン住民の考えは全く違うようだ。

 クマンさんは「ごみはここでは宝物だ」と話す。「なぜかって? 朝に乾かして選別すると、夕方にはお金になっているからだ」

 映像は7月22日撮影。(c)AFP/Harry PEARL