【9月14日 時事通信社】ニュージーランド(NZ)中部クライストチャーチのモスク(イスラム礼拝所)での銃乱射テロで51人が死亡した事件から15日で半年となる。インターネット上には乱射犯が現場から生中継した動画や自ら投稿した犯行声明が拡散し、事件に感化されたとみられる人物による犯罪が米欧で相次ぎ発生。ネットを通じて憎悪感情が増幅する「負の連鎖」が止まらない。

 乱射で殺人罪やテロ罪などに問われているブレントン・タラント被告は司法手続きで無罪を主張。被告から反省の言葉は聞かれない。

 8月には、ロシアの住所に宛てた直筆の手紙が収容先の監視の目をすり抜けて送られ、ネット掲示板に投稿されたことが発覚。手紙には「大きな争いが迫る」と恐怖をあおる記述も含まれていた。遺族感情を逆なでしかねない事態に、アーダーンNZ首相は「(手紙が)悲劇の影響を受けた人々に不安を引き起こして申し訳ない」と謝罪した。

 世界では4月に米カリフォルニア州のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で銃撃事件が発生。8月には米テキサス州の銃乱射で20人以上が死亡し、ノルウェーの首都オスロ付近のモスクでも銃撃があった。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、3件の実行犯はいずれも「8chan」などの掲示板を利用し、「タラント(被告)により個人的に目覚めた」などと同被告を崇拝するような投稿も行っていたという。

 こうした掲示板は発言が匿名で行われるため、白人至上主義など過激思想の支持者に利用される。タラント被告は8chanに出した犯行声明で、2011年にノルウェーで起きた連続テロの実行犯に言及。掲示板を通じて過激思想に陶酔し、テロ予備軍を生み出す構図が浮かび上がる。

 豪ニューサウスウェールズ大学のトム・シアー研究員は掲示板について「極右を中心に憎悪発言の抑制が働きにくい」と説明した。掲示板は閉鎖しても新たな掲示板が誕生する。言論の自由などの問題もあり、効果的な対策は難しいようだ。(c)時事通信社