【9月13日 AFP】2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は13日、会場となる東京・海の森水上競技場で、暑さ対策として人工雪を降らせるという今までになく思い切った手段の実験を行った。だが、観客席に座った組織委メンバーの頭上に落ちてきたのはふわふわの雪ではなく、粗削りのシャーベット状の氷片だった。

 カヌー・スプリントのテスト大会が行われていた海の森水上競技場では、300キロの人工雪を数分間降らせたが、すぐに問題点が明らかになった。「観客」はたちまちぬれ、足元は滑りやすくなって報道陣1人が転倒したのだ。

 また、テスト大会に参加していたパラリンピック仏代表チームのメンバーは、人工雪を降らせるホースにも問題があると指摘。「風が間違った方向へ吹くと、人工雪は観客席の外に流されてしまう。どれだけ効果があるのか分からない」と感想を口にした。

 皮肉なことに13日の東京の気温は、数週間ほとんど休みなく続いた暑さと湿気が一気に和らいで、涼しい一日となった。首都圏の通勤客や、もうすぐ始まる2019年ラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)に出場する各代表チームにとっては、間違いなく安心材料といえるだろう。

 実験について、大会組織委の岡村貴志(Takashi Okamura)統括部長は、暑さ対策として「できることは全て試してみる」と説明。人工雪は「空気全体を冷やすもの」ではなく、観客の肌に氷のかけらが当たって「清涼感を与えるもの」だとの認識を示した上で、降雪機には改良の必要があることを認めた。(c)AFP