【9月13日 AFP】キューバの国家元首ミゲル・ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)国家評議会議長が、米国の制裁により燃料不足や停電が起きるとの見通しを国民に示したことを受けて、首都ハバナでは12日、ガソリンスタンドや公共交通機関で大行列が発生した。

 今回の燃料危機は直ちに、ソ連崩壊後の「特別な時代(Special Period)」の極端な緊縮財政に逆戻りする懸念を呼び起こした。

 ディアスカネル氏は11日夜のテレビ演説で、「ディーゼル燃料が入手しにくい」ため、交通機関や発電、物流に影響が出るだろうと述べた。さらに、キューバへの輸入燃料の到着は10日を最後に途絶えており、燃料危機は次のタンカーが到着予定となっている14日まで続くとの見通しを示した。

 米財務省は、ベネズエラ産原油をキューバに輸送する多数の企業に制裁。こうした米国の対応について、ディアスカネル氏は「キューバに対するこれまで以上に大きな侵害行為」と非難した。

 ディアスカネル氏は国民の懸念を払拭(ふっしょく)するため、燃料不足が1990年代の「特別な時代」の再来を意味するわけではないと訴えた。「特別な時代」には、緊縮財政により物資不足がまん延し、栄養失調やそれに関連する病気が発生。約4万5000人が米国をはじめとする国外に脱出した。

■デジャブ

 しかし、国民は早くとも14日までは燃料を補給できないとの知らせに動揺。ディアスカネル氏の言葉に耳を貸さず、テレビ演説が終わって数分もたたないうちに、大勢がガソリンスタンドに殺到した。

 ディアスカネル氏は10月には「比較的正常な状態」に戻すと確約。経済の多角化に成功し、現在の主要貿易相手は欧州連合(EU)となっているので、キューバは「特別な時代」の頃よりも強い国になっていると強調した。(c)AFP/Rigoberto DIAZ