【9月13日 Xinhua News】中国民営自動車大手の浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group)は9日、メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)を傘下に持つ独ダイムラー(Daimler)と、ドイツ都市部で空中タクシーサービスを提供するボロコプターに共同出資すると発表した。

 ボロコプターは今回のシリーズCラウンドで5000万ユーロ(1ユーロ=約118円)を調達した。吉利とダイムラーはそれぞれ10%の株式を取得することになる。

 2011年設立のボロコプターは、空中タクシー分野で世界のリーディングカンパニーとして知られる。点と点を結ぶ空中電動タクシーの提供を通じ、移動効率を効果的に高め、大都市の交通システムを改善することを目標としている。

 吉利控股によると、ボロコプターは既に豊富な電動垂直離着陸技術を有しており、2017年にアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ交通局(RTA)と協力し、2人乗り自動運転空中タクシーのテストフライトに成功したほか、2018年には、フィンランドのヘルシンキ国際空港でプロトタイプのテストフライトにも成功し、航空管制システムとの接続を実現している。

 ボロコプターは先ごろ、欧州航空安全局(EASA)の基準で設計した新型空中タクシーを公開した。10月にはシンガポールで開催されるITS(高度道路交通システム)世界会議で新型機と離着陸設備(VoloPort)を公開するという。

 同社は今回調達した資金で、Volocity型機の今後3年でのEASA商用ライセンス取得を目指し、商業化プロセスのさらなる推進を図るとしている。

 吉利とボロコプターは今後中国で合弁会社を設立し、世界をリードする都市部空中移動ソリューションの中国への導入に力を入れる。吉利は中国でのボロコプター製品の生産と市場開拓を担当する。

 今回のボロコプターへの出資は、吉利とダイムラーにとって3件目の協力プロジェクトとなる。双方はこれまでにハイエンドモビリティーサービス、世界でのsmartブランドの共同運営で提携している。

 今回の資金調達が完了すると、ボロコプター社の資金調達総額は8500万ユーロに達し、吉利とダイムラーも同社の取締役会に加わることになる。

 2030年には世界の6割以上の人口が都市部に居住するとの研究結果が示すように、都市モビリティーとの課題に対応する最良の解決策とされている、都市部の「空中タクシー」市場の潜在力は極めて大きい。

 吉利控股は昨年、ダイムラーの長期戦略投資家、最大の単一株主となっている。(c)Xinhua News/AFPBB News