【9月12日 AFP】英国では欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」への準備が進んでおらず、このままでは英仏海峡の港で物流の渋滞が発生し、食品や医薬品の輸入が間に合わずに品不足に陥る恐れがあるとの英政府の分析資料が11日、公表された。「市民の騒乱」も起き得ると指摘している。

 英政府が「合意なき」EU離脱(ブレグジット、Brexit)の影響を分析した8月2日付の文書「オペレーション・イエローハンマー(Operation Yellowhammer)」をめぐっては先週、英下院の採決で政府に公開が義務付けられていた。

 文書は英アイルランド国境についても、物理的な検問を設置しない現行の英政府の計画では「経済、法律、バイオセキュリティーの各面でリスクが非常に大きく、維持できないと証明される」可能性が高いと指摘。その結果、国境周辺の町に闇市場ができ、反体制活動家の資金源になりかねないとしている。

 また、スペインとの国境で物理的な検問が設置されない英領ジブラルタル(Gibraltar)は特に大きな影響を受けるほか、英国の領海では漁業をめぐる争いが起きるだろうと文書は述べ、「市民の騒乱が増えて、各地で住民間の緊張が高まる恐れもある」と警告している。

「合意なき離脱」への備えを担当するマイケル・ゴーブ(Michael Gove)国務相は、この文書について「起こり得る最悪の事態のシナリオをつづったもの」だと強調したが、EUと合意に至らなくても10月31日にEUを離脱すると宣言したボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相と内閣にとってはさらなる圧力となる内容といえる。

 一方、英政府は10日、合意なき離脱に至った場合、EU加盟国から帰国する英国市民は酒類やたばこの免税措置が受けられるようになると発表した。サジド・ジャビド(Sajid Javid)財務相によると、合意なき離脱後の英観光業界の支援策として、英国からEU諸国への酒類・たばこの持ち出しも免税対象となるという。

 EUは1999年、単一市場とは相いれないとして加盟国間の免税制度を廃止した。英政府は、離脱後にEU加盟国へ向かう際、英空港の免税店でワインを買えば、国内価格よりも1本当たり2ポンド23ペンス(約300円)安くなるとの試算を示している。(c)AFP