【9月12日 AFP】ノルウェーで、ここ数週間に推計約200匹の犬が原因不明の嘔吐(おうと)や血便を伴う下痢、極度の疲労などの症状を発症し、9日までに約25匹が死んだことが分かった。国の獣医師機関が発表した。保健当局は犬同士の接触を避けるよう警告しており、飼い主の間に不安が広がっている。

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 ノルウェーには国レベルでの犬の登録制度はなく、実際の発症数は不明。獣医師機関の広報担当者によれば、一連の症状を引き起こす犬の疾患は幾つもあり、「必ずしも同じ病気とは限らない」という。

 死んだ犬のうち10匹を検視解剖したところ、全ての個体に重度の腸感染症が認められた。5匹からは、ウェルシュ菌とプロビデンシア・アルカリファシエンスの2種類の細菌が「異常に高い数値」で検出された。

 発症例が多く確認されているのは首都オスロと周辺地域だが、国内の他の地域でも数件報告されている。

 保健当局は、犬には常にリードをつけ、犬同士の接触を制限するよう飼い主に勧告。公共の場所では犬を散歩させる人の姿が減り、ドッグショーや愛好家の集いなども相次ぎ中止された。

 ソーシャルメディア上では原因をめぐり、ウイルス説、細菌説、食中毒説、意図的な毒物投与説など、さまざまな臆測が広がっている。

 食品安全当局者は「この病気の何が不可思議かというと、非常にたくさんの健康な犬が短期間に急速に発症している点だ」と話した。獣医師機関は、サルモネラやカンピロバクターによる感染症や、殺鼠(さっそ)剤の誤食の可能性はないと断定している。

 これまでのところ人への感染の兆候はないという。(c)AFP