【9月12日 Xinhua News】中国国家文物局は10日、日本に流出していた中国西周後期から春秋初期の「曽伯克父(そうはくこくふ)青銅組器」が中国へ返還されたと発表した。同局は公安部門との緊密な連係と在日本中国大使館および関係部門の強力な支援の下、5カ月に及ぶ大規模な返還活動を行った結果だと説明した。同青銅器は8月23日深夜、北京に到着しており、近日中に公開される予定。

 同局の関強(Guan Qiang)副局長は、「曽伯克父青銅組器」は中国がここ数年、海外オークションでの違法取引阻止に成功し、国際的な返還活動で戻ってきた最も価値の高い文化財だとした。

 同局の博物館・社会文物司(局)の鄧超(Deng Chao)副司長によると「曽伯克父青銅組器」は鼎(てい)、簋(き)、甗(げん)、霝(れい)各1点と盨(しゅ)、壺(こ)各2点の計8点が1組となっている。種類が豊富で保存状態も良く、形状や銘文、文様、鋳造などの面で西周後期から春秋初期の青銅器の典型的な特徴を持つという。

 研究では、これらの青銅器が近年、湖北省(Hubei)随州市(Suizhou)の春秋初期曽国上級貴族墓から盗掘されたことが分かっている。青銅器8点全てに銘文があり、合計330字に及ぶ。重要な学術的価値があることから、専門家はこれら全てが中国の1級文化財に相当すると鑑定している。

 関氏は、文化財が返還されたのは、文化財部門と公安機関、在外公館が一致協力し、最良の返還活動計画のもとで努力した結果だと指摘。中国が、関連する国際条約に基づき日本政府の連携と支援を得て実現した文化財返還であり、流出文化財の返還で新たな実践事例になったとした。(c)Xinhua News/AFPBB News