【9月11日 AFP】米国で電子たばこによる死亡例が出ていることを受け、前ニューヨーク市長で富豪のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)氏は10日、風味(フレーバー)付き電子たばこの国内販売を禁止する運動に1億6000万ドル(約170億円)を出資すると発表した。

 米国では最近、電子たばこを吸った後に少なくとも5人が死亡。電子たばこによる肺疾患の報告事例は急増し数百件に上っており、10代の若者の中には昏睡状態に陥る例も出ている。

 長年の反喫煙活動家であるブルームバーグ氏は、ニューヨーク市長時代の2000年代初頭、市内のバーやレストランでの喫煙を禁止した。

 ブルームバーグ氏は、米国を拠点とする反たばこ団体「子どもをたばこから守るキャンペーン(Campaign for Tobacco-Free Kids)」のマット・マイヤーズ(Matt Myers)代表と共同執筆した米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の論説で「これは緊急の健康危機だ。そして、たばこ企業がこの背後にいる」と指摘。「われわれは、大手たばこ企業の戦略を知っている。前にも見たことがあるものだ。子どもたちを標的にし、重大な危険にさらしている」と主張した。

 さらにブルームバーグ氏は、米食品医薬品局(FDA)がこの件に対して行動を起こしていないと非難し、自らの出資金が少なくとも20州・市で風味付きたばこと電子たばこを全面禁止するために使用されると述べた。

 電子たばこは米国で2006年から販売されており、紙巻きたばこなど従来のたばこ製品の使用をやめるために使われることもある。

 電子たばこの使用率はここ数年、10代の若者の間で急増しており、2018年には前年より150万人多い約360万人の中高生が電子たばこを使用していた。(c)AFP