【9月11日 AFP】ロシアの人気ラッパーが、統一地方選挙を前に政府を称賛する内容を歌ったミュージックビデオをユーチューブ(YouTube)に公開したところ、同サイト史上最多となる約150万件の低評価を集めた。このラッパーは10日にミュージックビデオを削除した。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の熱烈な支持者として知られるラッパーのティマティ(Timati、36)は、8日に実施されたモスクワ市議会選を前に「モスクワ(Moscow)」という楽曲のミュージックビデオを公開。ビデオの中で「俺は集会には行かない、くだらない話なんてしない」と歌っていた。

 同市では市議会選に当局が野党候補を出馬させなかったことを受けて、数週間にわたり抗議デモが行われていた。

 歌詞はさらにモスクワが裕福な都市として「世界のスタンダード」になっていると称賛し、モスクワで「ゲイ・パレードはやらない」と続いている。

 ミュージックビデオには、ティマティが削除した10日までに148万の低評価がついた。ティマティは削除する際、インスタグラム(Instagram)で、誰かの気分を害させるつもりはなかったと述べた。

 インスタグラムのコメントには「世界初の政府ラッパー。ファンに同情するよ」「(このビデオを)頼んだやつに金も返したのか?」とティマティをあざけるなど、ティマティが信念を曲げてプロパガンダをつくり、当局から金をもらったと批判する声が寄せられた。

 米誌フォーブス(Forbes)によると、ティマティは40歳未満のロシア人の長者番付で7位に入っている。

 ロシアの野党勢力はこれまでにも有償でプロパガンダ活動に関わった著名人を批判してきた。一方、抗議デモでパフォーマンスを披露し、この夏に拘束された人々への連帯を示すラッパーもいた。(c)AFP