【9月11日 AFP】ロシアのウドムルト(Udmurt)共和国で10日、少数民族ウドムルト人の活動家がその民族性や言語を広く認知させるための抗議として焼身自殺した。

 社会学者で元研究者のアルバート・ラジン(Albert Razin)さん(79)は、ウドムルト共和国での母語使用を促進する政府の政策のために闘ってきた。

 ウドムルト共和国の主要都市イジェフスク(Izhevsk)のメディアが公開した写真には、「私に故郷はあるのか?」「もし私の母語があすなくなるのなら、私はきょう死ぬ準備ができている」と書かれたプラカードを持って地方議会の建物の近くに立つ男性が写っていた。イジェフスクの病院はロシアの通信社に対し、男性は全身にやけどを負い、意識が戻らぬまま死亡したと明らかにした。

 ウドムルト語は、フィンランド語やハンガリー語も含まれるフィン・ウゴル語派に属しており、ロシア語とは全く関係がない。学校などでウドムルト語がロシア語にとって代わられることが増えたことを受け、ラジンさんらウドムルト人活動家は2017年、同言語を保護するための措置を現地当局に要求していた。

 ウドムルト共和国では、隣接するタタルスタン(Tatarstan)共和国と同様に、固有文化に特別な地位が与えられ、ロシア語と並びウドムルト語が公用語となっている。

 しかし昨年導入された新法により学校での固有言語の学習が必修から任意になったことで、一部地域で母語を守ろうとする少数民族の抗議活動が発生。この新法は差別的であり、学校から徐々に地元言語を排除しようとしていると主張する請願書に4万人が署名した。(c)AFP