■「最強」の種

 3種のうちボルタイ種は、従来知られていた650ボルトをはるかに上回る860ボルトの電圧を発することも分かった。ボルタイ種は電気を起こす生物として「最強」だという。ボルタイ種の発する電圧が強力なのは、導電率が低い高地水域での生活に適応しているためという可能性があると、研究チームは指摘している。

 デンキウナギはウナギとは別種の魚で、その発電の仕組みは電池の設計にも影響を与えた。

 デンキウナギは、狩り、自己防衛、進行方向の決定などさまざまな目的に電気を用いている。三つの特殊な発電器官があり、目的に応じて電圧の強さを変えることができるという。

 だが、今回の新種発見により、種によって多様な環境に適した異なる発電方法を進化させてきた可能性が出てきた。デ・サンタナ氏は今後、3種類のデンキウナギのゲノム(全遺伝情報)を比較したいと考えている。

 研究チームは、今回の発見は、いまだにその大半が科学的に未解明なアマゾン熱帯雨林の多様性を示す証拠であり、森林破壊、森林伐採、森林火災などにより危険にさらされている動植物の生息環境保護が極めて重要であることを浮き彫りにしたと指摘している。

 サンタナ氏は、「この50年間アマゾン熱帯雨林はさまざまな人的影響を受けてきたが、新種デンキウナギ2種のような巨大魚が発見される可能性がまだ残されている」と指摘した。

 研究結果は10日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。(c)AFP/Sara HUSSEIN