【9月11日 AFP】2001年9月11日にジハーディスト(聖戦主義者)らがハイジャックした旅客機で世界貿易センタービル(World Trade Center)に突入した時、当時26歳だったジャクリーン・フェブリレット(Jacquelin Febrillet)さんはその近くで働いていた。

 それから15年後、フェブリレットさんは転移性がんと診断された。有害性の粉じんを浴びたことが原因と考えられている。

「私は9月11日にそこにいた…あの日以来、何年間も毎日そこまで仕事に通っていた」と、現在44歳になったフェブリレットさんは語る。世界貿易センタービルの跡地「グラウンド・ゼロ(Ground Zero)」の近くに住んでいたこともあるという。

 フェブリレットさんとは異なり、当時19歳だったリチャード・ファーラー(Richard Fahrer)さんは事件当日、現場の近くにはいなかった。だが、2001~2003年、世界貿易センタービルのシンボルであるツインタワー(Twin Towers)があったマンハッタン(Manhattan)南部で測量技師として定期的に働いていた。

 ファーラーさんは18か月前、侵襲性の強い大腸がんと診断された。通常は高齢の男性が発症する疾病で、ファーラーさんに大腸がんの家族歴はなかった。

 フェブリレットさんやファーラーさんのように、約3000人が犠牲になった米同時多発攻撃の後、貿易センタービルの近くに暮らしていたり、働いていたりした人の間で、がんの発症率が増加している。

 彼らはグラウンド・ゼロに駆け付けた緊急隊員ではない。また何か月もがれきの除去に携わった作業員でもない。しかし、米同時多発攻撃から18年を迎えたニューヨーク市では今、そうした人々と同じように有害な粉じんの影響を受け、がんや重篤な疾病を発症する人が増えているというのだ。