【9月11日 AFP】フォトドキュメンタリーの草分け的存在として知られるロバート・フランク(Robert Frank)氏が、94歳で死去した。米ニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)にあるペース・マクギル(Pace/MacGill)ギャラリーが明らかにした。その生々しく、鋭い視点により、同氏は20世紀の偉大な写真家の一人に数えられている。

 同ギャラリーの広報担当者がAFPに伝えたところによると、フランク氏はカナダのノバスコシア(Nova Scotia)州インバネス(Inverness)で、老衰のため亡くなったという。

 同氏は1958年、米国社会をひるむことのない視点で捉えた代表作「アメリカ人(The Americans)」を出版。一躍有名になった。

 また、クラシックな写真技法を避けてスナップショットという新境地を開き、アメリカン・ドリームとは縁のない市井の人々の現実を追いながら、物語性のある白黒写真を撮影してきた。

 2万8000点の写真の中から83枚が選び出された「アメリカ人」は、フォトジャーナリズムの規則を書き換えたとされる。

 フランク氏は1924年11月9日、スイス・チューリヒで、ドイツ系ユダヤ人実業家の元で生まれた。12歳の時に写真に強い興味を持った同氏は、1940年から42年にチューリヒとバーゼル(Basel)で写真家のアシスタントとして腕を磨き、第2次世界大戦(World War II)後は米国に移住した。(c)AFP/Maggy DONALDSON